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松崎先生のこと

 先祖を正しくまつって、家庭を幸福にする道を考えられた松崎整道先生が、昭和二十三年一月八日、八十四歳にて亡くなられました。同年二月十一日、東京都大田区、東光院において、全国の徳風会の代表者が、徳風会葬を挙行せられましたので、編者は参会する光栄を得ましたが、この教えを後世に伝え多くの人々や家庭をすくう望み禁じ得ませず、新緑薫る同年五月のある日、先生の門人で、京都市伏見区阿波橋町阿波橋西詰に在住の竹谷嘉兵衛氏号聰進宅を訪問いたし、お話を伺いました。以下その問答を筆記いたしました。

竹谷先生はいつから松崎先生の教えを受けられましたか。
たしか昭和八年頃であったと思います。
今まで先生の代理として各地へ講演に行かれましたそうですが、先生の教えを簡単にお聞かせ下さい。
家庭内での先祖のまつり方と、お墓での先祖のまつり方と、陰徳を積む即ち功徳積みの三つが先生の教えの基本です。
先生の教えが先生の死後に廃るのを憂えまして、本日永遠に文章として残すために参上いたしました。どうか人々のために詳しくお話し願い、また速記したく存じます。


本日は日曜日で会社も幸い休みです。珍らしく一日中在宅しますのは元旦と、本日だけです。用事もありませんからごゆっくりして下さい。私の知っている限りお話しいたします。申上げます話は、松崎整道師が私に断片的に教えて下さった話を基本として、私が一層深く統計的に研究調査いたしましたものであります。統計に表れた数字によるのでありますから、話中には一般世間の道徳や、宗教道徳並びに各宗教家の教義と相反する箇所もありますがご承知下さい。
松崎先生はどんな人で、またこの大教はどういう動機から考え出されましたか。
松崎先生は埼玉県のお生れで、明治三十年頃北海道小樽へ移住せられました。常時内地から転住してきた人々は、一時金が出来ても長くその金を保持する事が出来ず、またお金を多少でも蓄えると内地へ帰る人が多い、これらの人々を救う方法としてお仏壇のまつり方について研究せられたのであります。そのうちふとお墓の事に気が付き、墓は家庭の運命を左右するものであると言う結論を得られ、人々のため先祖を正しくまつりなさいと人々に呼びかけられたのであります。
家庭内の先祖のまつり方と、お墓での先祖のまつり方と、先祖の霊は二ヵ所でまつるのですか。
先祖の霊をまつるのは、お墓、石塔、石碑を建てておまつりします。家庭の仏壇、または祖霊殿はお墓の遥拝所とご理解願いたいのです。ついでに申しますがお墓も神社も廟も霊魂がおまつりしてあるところです。まつる形がちがうと、申上げる言葉がちがいます。神社の中で石塔石碑を建てたなら墓と言います。であるのに神社は清らかなところ、お墓は汚れていると言う人がありますが、この考えはまちがっております。
人間の霊魂をまつるのに、なぜ神と仏に分けて言うのですか。
仏教の如く、自分自らがさとる宗教を佛と言い、天の神が諸々のものを作ると教える宗教は神と言います。即ち奥の意味は同じで言う言葉が違うだけです。


昭和二十三年発行 竹谷聰進著「正しい建墓と祭祀」より

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 墓相Wiki 最終更新時間:2011年08月08日 15時22分17秒